飲食店の長時間労働はなぜ普通にまかり通るのか?36協定とは

36協定働き方改革

飲食店のどこもかしこもが異様なまでの長時間労働です。

一日に12時間拘束なんて普通。むしろ生温いぐらいか。

きついところだと16時間拘束が当たり前。ひどい所だと24時間拘束なんかもあります。一昔前のすき家の「回転」勤務ってやつ。

しかし疑問に思った事ありませんか?

日本の法律・労働基準法では1日に8時間と定められています。

大幅に超えてますよね。飲食店って。

月に400時間の長時間労働ってあからさまに過労死ラインを超えています。

そこで、飲食店の長時間労働はなぜこんなにも普通にまかり通るのか?

なぜ暗黙の了解的に合法化しているのか?

この疑問をぶった切り、対策を紹介します!

目次

飲食店の長時間労働

飲食店の社員はかなりの激務!にも書きましたが、飲食業界ではどこもかしこも超長時間労働が横行しています。

確かに飲食業の構造が一般人の働いていない時間帯に仕事をしていたり、薄利多売なため営業時間を長めに設定しないと利益が出ない事から、一人の人間に労働が集約して長時間拘束されることになるのは否めません。

個人店なんかで月商200万規模ぐらいのお店だと、場所にもよりますが家賃やリース料などの固定費、仕入れなどの変動費で150万ぐらいはもってかれるから、一人の社員を月400時間働かせて月給40万とかいうわけにはいかない。

きっちり残業代を支払っていては、オーナーの取り分がなくなってしまうからですね。

しかし昨今のネットで情報が網羅する時代に、こんな堂々と長時間働かせて残業代未払いなどできるものなのでしょうか?

普通に横行してますよね。

払える体力を持っている大手でさえも、長時間労働に対する残業代を払っていない状態です。

なぜこんな事ができるのでしょう?

あの手この手で長時間労働の説明をする飲食店

ここにきてやっと飲食店の長時間労働が世間でも注目されてきてます。

和民の一件やらすき家の一件やらで。

なので面接の時点でも、応募者も色々質問してくるような時代です。

「本当にこの枠内で就業時間が収まるんですか?」

「本当に週休2日で休日は取れるのですか??」

などなど。

これに対して、

「うちは36協定を締結しているから大丈夫!」

「固定残業代なので、きっちり残業代も支給します!!」

こんな事をいう経営陣もいます。

雇われる側の弱さもあって、一般人は「なるほど、そうなんだ!」と納得してしまう。というかさせられてしまう。

飲食店で働いていて店長になったりすると、何気なく書かされるこの「36協定」。

さり気なくされる残業代の仕組み「固定残業代」。

これはいったい何なのでしょうか?締結すれば長時間労働させる事ができるのか?

36協定とは?

労働基準法では一日8時間、週に40時間の所定の労働時間が決まっています。これを上回る時間を働かせる場合には労使双方で協定を結ばなければならない。

これが「36協定」です。

「36協定とは?」

労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。

この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられています。

※時間外労働協定は、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれています。

引用元:厚生労働省

しかし実際小規模な飲食店のほとんどがこの協定を結んでいません。なぜならこの締結の書類は労働基準監督署に提出するもの。

36協定の締結とは簡単に言えば、はウチの店は残業が発生しますよ~と自らおおやけにするのと一緒。

そうすると残業代支払いの義務が生じてしまうため、未提出の小規模飲食店が非常に多いのです。

当然、中には36協定をしっかり提出しているお店もあります。大手チェーンは確実にそう。

じゃあこういった飲食店ではしっかり稼働した分の残業代が支払われるのか?

答えは「NO」です。

36協定を締結しているのになぜ飲食店は残業代を払わないのか?

  1. フレックスタイム制だから
  2. 固定残業代込みの給料

よく言われる理由としてあるのが上記のもの。

①フレックスタイム制だから

コアタイムが定められており、その時間帯は絶対いなければならないというもの。飲食店だと営業時間に合わせてコアタイムを設定しているお店が多い。

フレックスタイム制を採用している場合、出退勤の時間を労働者が決めることができる事が条件になるので、守られていない場合にはしっかりツッコんでやりましょう。

またコアタイムを極端に長く設定して長時間労働を強いてくる店がありますが、あまりに長いコアタイムだとフレックスと認められないケースもあるので、ここら辺もしっかり認識しときましょう。

フレックスででも超過した労働時間分の残業代は支払う義務があります

フレックスタイム制だからといって長時間労働に対する残業代が免除されるわけではありません。

②固定残業代込みの給料

これもよくある話し。基本給が22万で、3万の固定残業代が付いて合計25万の支給と言ったもの。

要は簡単にいうと30時間分の残業代はついてますよ。ってやつ。

しかし飲食勤務で月の残業時間が30時間以内に収まることなど絶対にあり得ない。

これは使用者側が労務対策として本来25万の基本給を無理くり22万に下げて、長時間労働に対する残業代を払ってる風にみせているだけ。

「うちは残業代はきっちり払っているだろ!」

こんなテイを装っているかに見えます。

しかしそもそも固定残業代制といった仕組みが法律には存在しません。そういった仕組みも有効だ程度に留まっているグレーゾーンなのです。

もし合法的に採用するのであれば、就業規則、賃金規程、労働契約などで明確に定めてあることが必要になる。

こういった規定を事細かく明示している飲食店って少ない印象があります。

そのため、ブラックなお店ほどこの「固定残業代」を採用しているのです。

勝手にこんな短い時間にみなすなよ。って感じですね。

飲食店の長時間労働がまかり通る理由

飲食店のサービス残業の言い逃れを書いてきましたが、なぜこうも飲食店の長時間労働が極当たり前にまかり通っているのか?

  • 労働基準法の罰則が弱い
  • 飲食店の労働者が意外とおとなしい
  • 周りの飲食も皆そうだから

主な理由はこの3つでしょう。

例えば36協定で締結した所定労働時間を超えた時の罰則ってご存じですか?

「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」

です。

これだけ。

見方を変えると30万支払えば労働者をこき使えるとも読み取れます。

しかもこれは労働者側が何かアクションを起こして事が公になった時の話です。何もせずに退職していってしまったら事実は闇の中に消えていってしまうわけです。

更には飲食店社員は意外にもおとなしい人が多いという事実。日本人全体の基質なのでしょうね。

それどころか飲食店に従事する人の中には、

「長時間でもやっぱりこういう仕事が大好きなんです!」

こんな人もいるほど。

過労で息子が死んだ!

長時間労働で精神に支障をきたし夢遊病を発症!

ここら辺までいかないと実際に何か事を起こすという人はいない。

その証拠にいざ退職の際には、

「飲食の仕事は長時間労働で大変だったけど社長や会社にはホントお世話になった、ありがとう!」

むしろこんな感謝の声をあげる人もいるぐらいです。

実際会社側としても、周りの飲食店も皆同じように長時間労働だからウチも別にいいだろう。ウチだけではなく大手も含め業界全体でそういった考えのうちに成り立っている。

こんな風潮があるため、業界全体としてはなかなか変化していかない傾向が強い。

だから飲食店では長時間労働が往々にしてまかり通ってしまうのです。

未払い残業代は請求すべき!?

結局のところ何も事を起こさないという行為は、それでいいという結論になってしまう。

飲食店の発展のためにもこういった長時間労働、未払い残業代などの問題はどんどん拡散させた方が絶対いい。

世間一般でもそういった風潮が高まれば、世論を気にして過酷な長時間労働ができなくなるはず。

労働基準法の罰則も強化されるかもしれないし、過酷な労働条件の飲食店をサポートする何か新しいビジネスだって立ち上がるかも。

是非このような渦中にいる人には、実際に行動を起こすということに期待します。

最後に:そうは言っても・・・と考えるなら

とはいえ温厚なあなたは、会社を訴えてやる!是が非でも会社から残業代をむしり取ってやる!!

といった強烈な方向には行かない優しい方かもしれません。

であれば、今すぐそんな職種は辞めろ!

とは言いません。

ですが、もし打開策を見出したいなら「転職エージェント」に相談してみませんか?

転職者の売りて市場で有利な状態なのが今です。

ぶっちゃけた話し、長時間労働がこんなに問題になっているのに、残業代を払わない法律を守らない。こんな会社で働いているのはもったいないですよ。

相手もプロなのであなたの意見と境遇を慎重に判断してくれます。その上で仕事を紹介してくれます。

第3者に今の現状を聞いてもらうだけでも、整理がついたりもします。

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